☆創作☆クロ2
今夜は痛いほどの無音、総てが眠りにつくなか、あたしだけが起きている。そんな気になった。あたしの刻む時だけが、なんだか異質なようで、少し不安になる。瞼の裏には、なぜか鮮やかな青空、冴冴としてますます目が覚める。
押し入れからクロが覗いているようだったので、手を延ばすと、ピョンと跳ねて、部屋をくるくる回った。今夜はどこもかしこも暗いから、クロがいくつもいるようで、なんだか可笑しかった。思わずクツクツと笑いがもれた。クロはビクッと押し入れに戻り、不平を言うようにダムダムと跳ねていた。
彼は不平を伝えるとき、ダムダムと跳ねる。そう、ダムダムと跳ねるのだ。
「ごめんね」と呟き、押し入れに向かって詫びると、コロコロと転がり出てきた。どうするのか眺めていると壁を伝って天井に張り付いた。そんな芸当もできるのかと感心した声をだすと、わかるのか、自慢げに天井近くをしばらくウロウロとして、飽きたのか押し入れに戻って行った。
なんとも不思議な同居人である。
ところで彼は昼の間は何処の影にいるのだろうか、そんなことを考えていたら、眠りについていた。
2009年12月2日
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特定の人に「嫌われたい」と思うことありませんか?
あたしはよくあります。
「好意の反対は無関心」と言うから。
「嫌われて文句を言われるほど想われたい」
と考えることがあります。
衝動にかられることがあります。
でも、今は、どちらかというと。
クロのように見られたい。
ガラクタは捨てられないから。
そこに置いてて欲しい。