SHILISUのすとれーじぼっくす

詩、文章。日記。書いてる人は適応障害。抑うつ状態で休職してましたが復職しました。

☆創作☆改 天使のくれたもの4

 少年は僕の手を握ったまま公園をぬけ、大通りへと引っ張っていった。僕は黙ってついていく。
 陽の落ち着く時刻のはずだが、期待に反し陽は容赦なく降り注いだ。足下からはジリジリと熱が襲ってくる。街路樹の丸い葉は濃い影をつくり、アスファルトの上の黒曜石になる。夏の暑い昼下がりに外出するなど誰も考えないのか、人影は少ない。
 やはり少年に覚えはなかったが、幼い子を一人で歩かせるよりはと、付いていくことにした。少年の醸し出す、懐かしい雰囲気から離れたくなかったのが大きな理由だ。
「星ってどこにあるんだい?」
 僕の問いに、少年は首を振った。
「わからないんだ」
 まぁ、探しにいこうと言われたのだから、当然かもしれない。
「思い付くトコはみんな探したんだ」
 少し寂しそうに俯く。
「星ってどんなんだい?」
 僕を見上げながら少年は、良く響くソプラノで答えた。